saikorohausuの日記

怠惰を求めて

移植後一年が経つ

末っ子が骨髄移植を受けてからちょうど1年となる。

こうやって振り返ること自体、正直気が進まない。絶対鬼が笑ってる。

(※この下書きを書いてまもなく、本当に再々々発の憂き目に遭う。)

けどせっかく無事に1年生き延びたので書いておこう。

詳しいことは以前も書いたのだが、うちの子は

0歳で白血病発症→化学療法で一旦寛解→退院後再発→再度別の新薬で化学療法するも転移までしてしまう→骨髄移植@2歳 という経緯をたどっている。

(※さらに今回は別の新しい治療法が適用されている。)

 

適合する骨髄は臍帯血バンクで大抵見つかるのだが、家族の血液を検査したところ、当時4歳だった2人目の娘が完全適合という奇跡を見る。医療的にはこれがベストという結論に。

私たち夫婦の本音としてはこんなチャンス、絶対どうにかして娘に協力してほしい!

でも、彼女の身体は彼女のもの。

だから次のようなことを伝えた。

嫌なことを無理にはしたくないし、骨髄提供を断ったからって家族みんなあなたのことをきらいになったり怒ったりはしない。

それに、臍帯血バンクでもぴったりの血は見つかるから、断ったらもう〇〇くんが助からなくなるわけではないよ。

選ぶのはあなただよ。

でも、いっちばん強力なお薬になるのがあなたの血で、世界であなたにしかできないことなんだよ。もし手伝ってくれたらすごくすっごくすごー-く感謝の気持ちでいっぱい。欲しいものややりたいことがあれば大体のことなら叶えるよ。

本人は「えー注射とか嫌だあ!こわいよ~。でも、、おもちゃが買ってもらえるなら…♡」というノリだ。もちろん後日、検査などの度にいろいろサービスさせていただいた。

ちなみにそれ以前に、上のきょうだい2人にはどういう病気でどう治療するのかということはざっくりとホワイトボードで解説して教えてある。

 

提供者はどんなことをするかというと。

★移植2カ月くらい前

→採血して各種感染症のチェック。

→レントゲン、心電図で健康チェック。

→体格チェック(幼児のため、極端に小柄じゃないかとか、手術の負担に耐えられるのか発育を見る)。

 

★移植1カ月くらい前

→自己血を2回に分けて採る。これは、骨髄を抜いた直後に体に戻して貧血を予防するため。幼児なんで、ルート確保したら沈静入れて眠らせて、ゆっくり採ってもらった。

血には消費期限があるためスケジュール調整必須。

麻酔入れたため帰りの車内で嘔吐。

 

★移植当日まで

感染症にかかったり、体調悪くならないように細心の注意をする。

ちょうど夏休みに突入する時期で、デルタ株のコロナが猛威をふるっていたので子供たちは学童や保育所には預けない方針にした。

親の片方は病院付き添い、もう片方は仕事、ということは、夏休み中の子守が必要になる。そのため日中はシッターさん(それまでも協力してもらった信頼の厚い人)に来てもらって安全に過ごさせた。正直、高くついた。

 

ちなみにもし提供する方が風邪ひいたりしたらどうなるかというと、要はアウト。

臍帯血バンクで適合する臍帯血を押さえてもらっているため、代わりにそれを使うことになる。

移植を受ける方は移植日に合わせて抗がん剤入れて自分の細胞をゼロになるまで殺して待っているのでリスケとかもうできないのだ。

 

また、小児科にはCLS(チャイルドライフスペシャリスト)というポジションの人がいて、提供者の子がなんのためにどんなことをするのかを分かりやすく絵本にしたり、ぬいぐるみを使って実際の医療行為のイメージを教えてくれたりした。また、検査の度にスタンプを押して〇個貯まったらガチャガチャさせてくれた。

 

★移植前日

前日に入院。

お部屋は一般病棟の大部屋。両方幼児のため付き添い者がそれぞれに要る。

移植日は手術室に入って、腰のところの骨に穴開けて骨髄採取。

跡はほぼ分からないくらいになるが、なるべく目立ちにくいように腰のくぼんだ所にしてくれた。

沈静入れる直前、やだやだやっぱり怖い!という感じにはなってしまったようだ。わかる。私も初めて静脈麻酔入れたときはすごく怖くて逃げだそうかと思ったもん。

とはいえ、病棟保育士さんとスライムづくりしたり、プレイルームで遊んだのが相当に楽しかったようで、もっといたいなーと言っていた。

付き添い者以外はクリーンルームには入れないため、クリーンルームのガラス越しにきょうだい面会を果たす。これ、昔のドラマとかの白血病のイメージやん!

 

さて術後は発熱もあって結構心配したが、なんといっても元が健康体なのしっかり回復してくれた。んで術後2日くらい?で退院。

 

移植してもらう方は点滴でぽたぽた入れるだけなので、移植それ自体の負担は少ない。

そのあとはGVHDなんかがどの程度出るのかが怖い。

うちの場合はフルマッチでの移植だったこともあり生着は早く、GVHDもほぼ無かった。いや、粘膜障害が結構きつくてトイレの度に痛くて声を殺して泣いていたりしたのだが、この程度なら全然何にもないと言ってよいレベル。

あと大変だったのは移植後に服用する薬。薬は飲みなれてるうちの子でも戻すほど、かなり飲みにくいものがあって、それは結構苦労した。

で、移植後ひと月半ほどでスピード退院できた。

 

それから一年は本当に毎日濃くて楽しいこといっぱいした。

三人兄弟でいっぱい遊んで、言葉も格段に上達して、幼稚園も入っておねえちゃんと並んでバス乗って登園して、夕方はお兄ちゃんの学童へ一緒に歩いてお迎えに行って、一番小さいのに一番元気に走ってて、公園行って遊園地行って旅行いって、大きなプールにも入って、海で泳いで、キャンプして、自転車乗って、おにいちゃんのYouTube見てすまない先生の真似して、ほんとににぎやかで楽しい日々。

 

毎回治療はうまくいくし、その後の経過も良かったんだけどなー、

いきなり再発だもんな。ガンって病気はほんとガチャだな。